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ごあいさつ

秋田アレルギー市民公開講座は、アレルギーに関わる医師が作る団体(日本アレルギー協会)が主催し、厚生労働省、日本医師会、日本アレルギー学会の後援をうけ、毎年2月〜3月に行われています。 

 

今や国民の2人に1人が、なんらかの「アレルギー」を持っていると言われています。アレルギーは長いつきあいになることが多く、ご本人だけでなくご家族も色々なご心配やご苦労をされていると思います。

 

以前に比べると、インターネットや書籍など、情報の入手は容易になっていますが、実はその信頼性は様々です。情報過多と言われますが、広告や民間療法、人の噂などと相まって、混乱してしまうことはありませんでしょうか?もしかしたら、かかりつけの先生とも、混雑した外来では十分お話しできる時間がとれないかもしれません。

 

私たちは、信頼できる情報をわかりやすく伝える、という目的で、市民公開講座を開催しています。専門の先生方から、現在の診療の考え方や、新しい治療を解説して頂きます。患者や家族としての体験を共有することは、患者にとっても医療者にとっても気付きの多いものになります。後半には、ご来場頂いた方のご質問にもできる限り対応したいと考えています。

 

ところで、「信頼できる医療情報」とはなんでしょうか?

 

現在の医学は日進月歩とよくいいます。これは「エビデンス」と呼ばれる研究の積み重ねによって成り立っています。多くの医師や研究者が、病気を何とかしたいと多くの時間・労力・お金を使って研究を重ね、論文や学会で発表し議論され、他の医師・研究者がそれを確認し、さらに患者さんのデータが集められ検討されていきます。それでもアレルギーはなくなっていないのですから、完全なものではありません。現時点で多くの専門家が認める事実とその限界、その両方こそが「信頼できる医療情報」です。

 

営利や売名行為の目的で、このようなプロセスを経ずに行われるアレルギー治療は、「アトピービジネス」と呼ばれています。残念ながら、病院に行くよりも、美辞麗句の並んだアトピービジネスに傾倒する患者さんもいらっしゃいます。現在の医学とその限界を理解し、バラエティーに富むひとりひとりの患者さんの問題に対応している医療者にとっては、やるせないことです。

 

そうならないためにも、患者と医療従事者が相互に理解を深め、アレルギーと向かい合う「チーム」になる必要があります。市民公開講座が、そのきっかけになれば幸いです。

秋田大学大学院医学系研究科

総合診療・検査診断学講座

植木 重治

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